墓じまいの代行を頼む前に 行政書士と石材店の仕事の違いと見積で確かめる項目
墓じまいの「代行」は、1つの仕事の名前ではありません。役所に出す書類づくり、墓石を撤去する工事、寺院との話し合いのどれを誰がするのかは、事業者ごとに違います。頼む前に、見積書で作業の範囲を項目ごとに確かめるのが基本です。
法律の面では、役所に出す書類を報酬を得て作る仕事は、原則として行政書士の仕事です(行政書士法)。石材店の工事とは別の仕事なので、代行を名乗る事業者がどちらを自社でやり、どちらを他社に回すのかを聞いておきます。この記事は一般的な情報で、個別の判断は行政書士や消費生活センターなどの専門家にお願いします。内容は2026年11月4日に確認しました。
代行で頼める仕事は3つに分かれる
墓じまいの流れは、大きく3つの仕事でできています。

- 役所の手続き: 改葬許可の申請書を作り、墓地の管理者の証明をもらい、市区町村に出す。書き方は改葬許可申請の記事で説明しています。
- 墓の工事: 墓石を撤去し、土台を壊し、遺骨を取り出して、区画を更地にして返す。
- 寺院や管理者との話し合い: 墓じまいの意向を伝え、証明の書類を受け取る。離檀料が問題になる場合もある(離檀料の記事)。
そのほかに、遺骨の移し先(永代供養墓や合祀墓など)の手配があります。「代行」と書かれていても、4つのうちどれを含むかはまちまちです。見積書の項目に「含まれる」と書かれていない作業は、別の費用になるものと考えて確かめます。
行政書士の書類づくりと石材店の工事は別の仕事
行政書士法の第1条の3は、行政書士の業務を「他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成すること」と定めています。第19条は、行政書士でない人が、報酬を得て業としてこの業務を行うことを、他の法律に別段の定めがある場合などを除き禁じています。

改葬許可申請書は、市区町村に提出する書類です。そのため、報酬を受けて作成を引き受けられるのは、原則として行政書士です。ここでいう「作成」は書類づくりを指します。窓口に出向いて提出するだけの手伝いや、書き方の案内がどこまで許されるかは、この記事では判断できません。事業者に「書類づくりは誰が担当するのか」を聞くのが現実的です。
なお、申請者本人が自分で書類を作って出すのは、もちろんできます。改葬許可証そのものに手数料がかからない市もあります(横浜市のページで確認)。
石材店の仕事は、墓石や土台の撤去と、更地への復旧です。城戸石材加工所(福岡県)の公式ページは、役所の改葬許可申請そのものは無料でできること、同社は申請書の書き方の案内と必要書類の確認を無料で手伝うこと、書類の作成は本人が行うこと、同社が代理で申請するとは書いていないこと、を載せています。石材店によって、書類にかかわる範囲が違う例です。
公式サイトの料金表を読む
実際の事業者の料金表から、書き方の違いを2つ見ます。金額は各社の公式サイトに載っているものです。

日本改葬協会の公式サイト(2026年11月4日に確認)の料金表は、次のとおりです。運営会社名は、開いたページの本文には見当たりませんでした。
- お墓の撤去: 1㎡まで13万円(税込14.3万円)、1.1〜2㎡まで19万円(税込20.9万円)、2.1〜3㎡まで25万円(税込27.5万円)。
- 行政手続きサポート: 3万円(税込3.3万円)から。
- 離檀代行: 12万円(税込13.2万円)から。すでにお寺とトラブルになっている場合は18万円(税込19.8万円)。
- 撤去に含まれる作業: 墓石の撤去、土台の解体、石の処理、遺骨の取り出し。
同じページには、割増になるケースも並んでいます。土台に厚みがある、工事車両が近づけない、斜面にある、土台が隣の墓と共有で切断が必要、石の処分費が必要、納骨室(カロート)がある、工事期間に制限がある、などです。つまり、表の金額はあくまで基本料金です。
読むときの注意点が2つあります。1つ目は税の表示です。ページの下部には「表示価格はすべて税別」とあり、各料金には税込価格も併記されています。どちらの金額で請求されるのかは、見積書で確かめる必要があります。2つ目は、行政手続きサポートの作業範囲です。ページには手続きの流れの説明はありますが、書類を誰が作るのか、行政書士が担当するのかは書かれていません。離檀代行も、離檀料そのものが費用に入るかは書かれていません。
もう1つの例は、城戸石材加工所(福岡県)の公式ページ(2026年4月公開)です。墓石撤去は1㎡あたり12万円から(税込)で、基礎のコンクリートの撤去が必要なときは12万〜20万円を足すとしています。閉眼供養のお布施(3万〜10万円が目安)は、石材店の費用ではなく寺院へのお布施だと説明しています。処分費は工事費に含めているとも書かれています。同社は、ページの金額は目安で、自分の墓の金額は実際に見てから決まるとしています。
2つを並べると、同じ「墓石撤去」でも、価格の決め方(面積の区分か、1㎡単価か)と、含まれる作業が違います。表の安さだけでは比べられません。
見積書で確かめる項目
代行でも石材店でも、見積書では次の点を確かめます。

- 面積: 墓所の広さを、どの区分で計算しているか。
- 撤去の範囲: 墓石だけか、土台や基礎のコンクリートまで含むか。カロートはどうか。
- 遺骨: 取り出し、洗浄、移送が含まれるか。含まれないなら別料金はいくらか。
- 処分費と運搬費: 工事費に含まれるか、別に請求されるか。
- 重機の使用: 墓地の入り口や通路の条件で、費用が変わるか。
- 割増の条件: どんな場合に、いくら増えるのか。現地を見たうえでの見積もりか。
- 閉眼供養のお布施: 見積もりに入っているか。石材店の費用とは別に、寺院へ払うものと説明する例がある。
- 役所の手続き: 誰が書類を作るのか。行政書士が担当するのか。手数料の実費は誰が払うのか。
- 寺院との話し合い: 代行に何が含まれ、離檀料は別なのか。
- 税の表示: 税込か税別か。
- 追加費用: 見積もり外の費用が出たとき、工事の前に連絡があるか。
- 返還の手続き: 墓地を返すときの届出や立ち会いは、誰が行うか。
見積もりは、1社だけでなく複数から取り、同じ項目で並べると違いが見えます。金額の内訳の考え方は墓じまいの費用の記事に、補助の有無は自治体の補助金の記事にあります。
契約の前に確かめたいことと相談先
国民生活センターの「墓・葬儀サービス」のページは、墓についての相談として、価格やサービス内容について十分な説明がないものを挙げています。PIO-NETに登録された「墓」の相談は、2025年度が1,077件です(2026年5月31日までの登録分を含む集計で、墓じまいに限らない件数)。

契約の前に、次の3つを書面で残しておくと安心です。
- 見積書: 作業範囲と金額、追加費用の条件が書かれていること。
- キャンセルの条件: 契約したあとで解約したときの費用。
- 書類づくりの担当: 行政書士が担当する場合は、その名前と事務所。
説明に納得できないとき、契約したあとで困ったときは、消費者ホットライン188に電話すると、お近くの消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます(相談は無料で、つながった時点から通話料がかかります)。
出典
- 行政書士法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000004
- 日本改葬協会(料金表ページ) https://kaiso.or.jp/haka/price/
- 株式会社城戸石材加工所「墓じまいの費用相場と平均」(2026年4月公開) https://kidosekizai.com/hakajimai-cost/
- 国民生活センター「墓・葬儀サービス」(2026年7月31日更新) https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/sougi.html
- 横浜市「改葬(遺骨の移動)の手続」 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/todokede/koseki-juminhyo/todokede-touroku/koseki/kaisou.html
- 消費者庁「消費者ホットライン188」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/
いずれも2026年11月4日に確認しました。料金は変わることがあるため、各社の最新のページと見積書で確かめてください。